2015/12/08

61) 問われているのは何か?

 公文書消滅事件の市長、副市長答弁をネット中継で拝見しました。紙ベースで残しているから公文書毀棄には当たらないとの説明を聞き、メールについてはやはり「意図的な消去」であったのだと考えざるを得ません。そうすると刑法258条の「公務所の用に供する文書又は電磁的記録」を毀棄した者は3月以上7年以下の懲役に処する」との規定が思い浮かびます。
 しかし、藤井議員は、そうした法律論の前に、まず越市長がこの出来事(公文書消去)をどのように考えておられるか、その認識を問われたのだと思います。

 この問答の中で昨年5月30日に行われた二役協議(市長と両副市長)の意義が焦点となりました。越市長によると、私が取りまとめた「部局長意見集」を二役限りとすることで合意したという話です。こうなった以上、これに対して私からも発言した方がよいと考えます。今まで黙っておこうと1年半は外に出してこなかった話です。

 退任式前のあわただしい時に二役協議が行われたのは、退任式での私の発言を越市長が前もって確認しておきたいと思われたことによります。
 私は、経過をきちんと説明すべきだと考えていましたが、越市長は、「私が感謝の言葉で送れるよう一身上の都合に徹してほしい」と要望されました。 
 既に私は「一身上の都合」という辞職届を提出していたので大枠はその通りだが、それではあまりに漠然とし過ぎている。私には仕事を途中で辞めることの説明責任がある。一応の経過を説明したうえで職員に贈りたい言葉がある、と申し上げました。
 こうしたやり取りが続いた後、越市長は、私の言うことを聞かなければ退任式を行わないと宣言されたので、売り言葉に買い言葉で私も、勤務時間後に自分で挨拶会を開くといいました。これに対し越市長は「退職する人に市の施設は使わせない」とおっしゃいました。
 
 このブログでも書いてきた通り、たしかに「一身上の都合」に間違いはありません。お世話になった皆さんにご挨拶する機会を失くないたいと考え、私は越市長に従うこととしました。
 しかし、部局長が真摯に意見を述べた「意見集」だけは、せめて二役と部局長の共有を図りたいと主張したのです。これに対し越市長は「部局長にまくなら私はいらない」と受け取りを拒否されました。部局長の意見を市長に届けることが私のパイプ役としての最後の仕事だと考えていたため、私はそれ以上主張することを止めました。その結果、市長と伊藤副市長のお手元に部局長意見集が残ることとなったのです。
 そして、退任式の翌日(5月31日土曜日、在任最後の日)に、私が各部局長に、彼ら自身が語った言葉を私が取りまとめた「意見集」をメール送信した、これが事実経過です。

 越市長の答弁では、私からの異例の意見照会について越市長に「不安や疑問」を訴える部局長があったといいます。私が取りまとめに際して部局長と直接面談した際には感謝とねぎらいの言葉しか聞きませんでしたが、越市長の言われる通り「不安や疑問」を訴えた人も1人や2人おられたかもしれません。その方々には遅まきながら私の説明不足を謝らなければなりません。

 しかしその後、越市長が大切な部局長意見集の電磁記録を消去し、印刷物の提出を命じられたことは、彼らに何の「不安や疑問」も与えなかったのでしょうか。私の退任前の部長会において、越市長は「茂呂なきあとは私が一層しっかり職員の言葉を聞いていく」と言明されました。その直後の出来事です。彼らは、改めて越市長の聞く耳を持たない姿勢を痛感して落胆を覚えたのではなかったでしょうか。
 越市長、私が訴えたいのはまさにこの一点です。
 市役所内部の出来事で、しかも市民に不利益を及ぼさない程度であれば、誰も法文を振り回してしゃくし定規の主張をしたりしません。越市長に問われているのは、本当に集団の英知を集めてよりよい市政を行うことができるか否か、この一点です。
 その答えが今回の市長答弁で明らかになったと思います。

 もう一つ言います。記録消去、資料提出指示、資料処分、答弁作成、答弁など一連の行為を越市長は職員の補助を受けて行っておられるものと考えます。職員の魂を損ないかねない行為は厳に慎まれるべきではないでしょうか。
 もちろん、私は職員がこうしたことに負けず、プロ意識と自負心を奮い立たせ、明日を見つめて市民のために働いていると信じます。そしてそれを励ますのが市長の仕事だと思うのです。

 なお、藤井議員はご自身の考えにより質問されました。私がお願いしたわけではないことを藤井議員の名誉のために申し上げます。先日、このブログに藤井議員の質問を抑制する趣旨のコメントが投稿されましたが、私がこれを削除したことも申し添えます。
















 
 

17 件のコメント :

  1. 市長は二役だけで良いとしたものを自分勝手に送付したのはいかがなものか。会社でも経営トップがそういったらメール送信しないでしょう。しかも退任する直前に送付することは会社にとっては迷惑なことでテロ行為と同じですよ。

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  2. 発言の抑制は絶対よくないと思います!まっとうな議論をしましょう。

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  3. テロだという物騒なコメントがありましたがこれまた意味がわかりません。越さんの応援団はレッテル張りが好きなのでしょうか。というより応援団であってもなかっても、事実を読み解いてコメントするべきですが、、、。これは五月末に降ってわいた問題ではなく4月からの継続案件ではなかったですか?情報共有することの可否が分かれ目になっていたようです。この件を一番しっかり判断できるのは当の部局長の人たちです。彼らに意見が聞きたい。

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  4. 2役協議で市長のいう結論に従うのは当たり前というあなた、退任式をやらせないという発言はどう見ても異常ですよ。そんな市長の指示が絶対なんですか。前代未聞の市長です

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    1. 発言が異常というあなた、企業でも自己都合で辞める人に退任式ってやりますか?

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    2. 一般職ならしないでしょうねぇ。
      でも、市役所ではそういう慣習なんでは?
      まぁ、予定されているものをやらせないというのは、どうかなと思いますね。

      それと、退職した後の一般市民となっても、市役所の施設を使わせないというのも、発言としてはどうかと思います。
      公共施設の使用って前職員という理由で拒否できるんですか?

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    3. 退任式が行われたのは平成26年5月30日の夕方です。茂呂氏の退任は5月31日になりますから、退任式の時点では市職員であり、「退職する人だから」という理由で市の施設を使わせないという発言はワンマン社長のわがままレベルとしか言いようがないですね。
      「企業でも自己都合でやめる人に退任式をやりますか?」との発言がありましたが、市役所でも自己都合でやめる職員はしませんよ。選任の手続きを経て選ばれた特別職だから行うのです。副市長や教育長などの特別職は、選挙で選ばれた首長が任命し、選挙で選ばれた市議会の同意を経て就任する特別な存在です。
      そもそも、茂呂氏も前教育長の富田氏もその前の教育長の澤村氏も越市長の要請を受けて副市長、教育長に就任したものです。自ら選び、市議会に対して「このような人材で、行政にとって必要だから就任を認めて下さい。」と説明しているのです。そうやって就任した人たちに対する市長の発言はあまりにも子どもっぽく、公職に就いている人間としての良識を疑われても仕方がないと思います。

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  5. ところでその意見書は最後はどう活用されたのでしょうか。二役が紙資料で机のなかにもっているだけ?それでは意見をよせた部長も浮かばれない、。やっぱり聞かない政治何ですね

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  6. 問われているのは越さんの職員の声を聞く姿勢と市政運営の適格性だと思います。公文書の部外秘扱いとデータ削除を見るとかなりの隠ぺい体質と言えそうです。教育委員会のこと非難できるのかなあ?市長がよくなったというひとは具体例を教えて下さい。支援は結構ですがみな揃って抽象的です。越さんの応援は、あまり知らない人がやってるんではないか?と思います。

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    1. どのコメントも抽象的、私も感じます。文体のクセから考えるに、同一人物が何本もコメントしてるのだと思います。べつに越市長を真剣に応援しているようでもないし、反論もきませんから、取り合う必要ないと思っています。

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    2. 茂呂氏が正直にありのままを伝えておられ、私も正直に感想を申し上げますと、まあしかたないなといったことです。

      合意があったという越市長の言い回しは、市長の意志を押し通すことができたと言い直すほうが正確です。しかし、協議会での茂呂氏に徹底抗戦という選択肢もあったことを思えば、合意という越市長の解釈に立ち向かう手立てはないと思います。しかも、退任後の茂呂氏。副市長委の立場で抗うことができません。

      もうひとつ感じますのは、市長という立場の強さです。退任式をしないという脅迫手段が効果的であるほどの権限を持ち、まっとうに見えて実は卑怯な権限行使によって市長-副市長の意見対立が外に出るのを防ぎ得る。市政のあるまじき実態を隠してしまえる。今回は茂呂氏の意志が踏みにじられただけのことですが、これと同じやり方を市政運営のあちこちに反映させれば、どのような政策も実現させることができるのでしょう。
      茂呂氏が大津通信をやっている大きな理由もこれだと思ってまず間違いありません。やっぱり放置できないことです。だから広く知らせようというのが茂呂氏の意図でしょう。
      越市長がわざと悪政に走っているわけではなくて、越市長から見て正しい方向を目指しているはずですが、けれども、正しいことを貫こうとするのなら手法も正しくなくてはなりません。正しさとはそういうもんです。マッキャベアリズムなんていう昔に覚えた用語が思い浮かびます。今回の記事に見るようなやり方で市政を進めてきたからあれこれ問題が生じているのだと思います。そんな危険な人物に大津を預けることができません。

      茂呂氏はまともな考え方で越市長にぶつかっていったけれど、それが通用しなかった。力不足でした。市長の人柄によってできたりできなかったりするのは、とても心苦しいけれど、茂呂氏の力量不足だと言わざるを得ません。大津を任されるポジションとはそういう厳しさの世界です。

      私は、いま、思いますねえ。茂呂氏に無理だったことを俺たち有権者がやってやろうじゃないか。茂呂氏のくやしさが茂呂氏だけのものだとは思いません。今回の記事に見る越市長の狡猾で強引な市政運営手法が続けば、いずれなんらかの現れ方で市民にもツケが回ってくることでしょう。そのときに私たちも茂呂氏のようなくやしさを知ることになります。それでは遅い。

      茂呂氏が力不足とさっき言いましたが、副市長だからやれなかったということも言えます。組織に組み込まれている立場では、終戦のラジオじゃないけど、耐え難きを耐え忍び難きを忍びでいくしかない局面の連続だったでしょう。組織の中にいて市長の権限に逆行することはまず困難です。
      不適格な人物から市長の権限を奪い去ることができるのは、有権者だけです。ここを肝に銘じておきます。

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    3. 図書館のレポートを書いたものです。図書館は、市民の良識が一応通りました。結局のところ、私たち市民が問題だと思います。自分たちの地域だけの利益誘導型の選挙は、もうやめませんか?未来の子どもたちにどんな大津を残したいか、もっと大きな視点で考えたいですね。
      武雄市民の方、ツタヤ図書館を元にもどすのに苦労していらっしゃいます。それでも、時間がかかっても子どもたちのために頑張るとおっしゃっていました。大津は、まだ間に合います。既成政党のみなさんのご都合主義にうんざりしています。

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    4. 今さら副市長や教育長など自己都合で辞めた人の話は止めましょう!
      変な形で辞めたのであれば大津市議会の素晴らしい議員の先生方が放っておかないでしょう。
      市長に対して誰ひとり不信任しなかったのですから。
      ちゃんちゃら可笑しいですよ。

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    5. そういう問題ではありません。
      自己都合であろうがなかろうが、越市長の本当の姿を知っているという点で重要なのです。
      議員は市長を選びません。選ぶのは私達です。
      その一点で、このブログの存在価値は計り知れません。各新聞でもっと大々的に取り上げて欲しいぐらいです。

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    6. この方の発言(12月9日 22:05)は不穏当とは思いますが、表面的にはその通りということになってしまいますよね。前々から不思議に思っていたのですが、なぜ議員の先生方は市長の暴走を止めなかったのですか。不信任どころか「越直美市長に自らの政治姿勢を省みることを求める決議」すら否決されているのはなぜなのですか。

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  7. 今頃になって投稿します
    越さんの指示によると思われる公文書消去事件の関係者です。副市長のご要請に応じ意見を提出し、当初のご説明通りわれわれにフィードバックされるものと思っていた職員の一人です。退任式も済んだので副市長も思いを果たせなかったのだなあと思っていたら土日をはさんだ月曜にメールをいただき意見集が添付されていたので、本懐成就という古い言葉が浮かびました。が、それもつかの間で会議から戻ってきれいに跡形もなく消されていて、すぐに市長の顔を思い出しました。なぜそうされたかの理由をコメントしている人がおられましたが私は副市長の手紙と部局長の意見が越さんにとって非常に耳の痛い指摘ばかりであったので、それが公文書として広がり残ることに耐えられなかったのだと思っています。都合の悪いことは隠ぺいして何食わぬ顔をするなら、良く変わることができるはずもありません。前知事は越さんが変わることに期待を込めて態度表明をされたものと思いますが、その見方は正しいのでしょうか。

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  8. 越市長が高齢者のためにお金を使う改革をしたと新聞に載っていましたが、読者が越市長のようによくマスコミに注文をつける人なら誤報につき訂正記事を要求したかもしれません。市の予算を見ていたら越市長の発言はぜんぜん同意できません。数字で示して欲しいものです。

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